難治性のがんの一つである肝細胞癌(HCC)に対して、新たな治療法が期待されています。それは、臍帯由来間葉系幹細胞(UC-MSCs)を用いた細胞療法です。

本研究は、UC-MSCsがいかにしてHCCを標的とするのか、その分子レベルおよび細胞レベルでのメカニズムを解明することを目指しています。UC-MSCsは、免疫調節作用に加え、腫瘍に特異的に集まる「ホーミング能力」や、細胞外小胞を介して抗腫瘍物質を放出する「パラクライン効果」を持つことが注目されています。これらの作用により、UC-MSCsはがん細胞の増殖を抑制し、アポトーシス(細胞死)を誘導し、さらにはがんの栄養源となる血管新生を阻害する可能性が示唆されました。
この発見は、既存の治療が難しいHCC患者にとって、低侵襲で効果的な新規細胞療法の開発に繋がる基礎的知見を提供します。再生医療分野における大きな進展として、今後の臨床応用が期待されます。
【論文情報】
ジャーナル: Tissue Cell (2026)
DOI: 10.1016/j.tice.2025.103200


